緊急事態宣言下における飲食店の営業制限について

オリンピックを目前に東京では再び緊急事態宣言が発出され、飲食店での飲酒制限が問題となっています。

政府の中途半端で筋違いな対応が原因なのは間違いないことではありますが、マスコミや野党政治家のように何をやってもただただ批判し、代案も示さず騒ぎを助長させるだけでは問題の解決にはなりません。

もう少し現実に目を向けた冷静な判断が必要です。

マスクをはずした飲食の場が最もコロナの感染を拡散させているだろうということは誰でも容易に想像はできるでしょう。

もちろん飲食店には何の責任も無いわけですが、飲食店がどんなに努力してもそこに人が集まる限り感染拡大は防げないのが現実です。

しかし営業しなければ飲食業に従事する人や家族、関係者は生きていけない。
この矛盾をどう解決するのか? 

財務の専門家として自分なりの考察を述べたいと思います。

まず会社(お店)の経費には変動費と固定費があります。
変動費は売上に連動して増減する費用のことで、主に仕入れや外注費です。

一方固定費は売上とは関係なく毎月かかる費用のことで、主に人件費や家賃です。
つまり売上が無くても支払わなくてならない経費のことです。

コロナ対策は、一定期間人が集まる場所を無くすことが目的ですから、飲食店は中途半端に営業せず完全に休業してもらいます。

その代わり国は休業期間中の人件費(店主の給与も含む)と家賃、リース料等の固定費を全額保証すること、借入金の返済を一定期間猶予することを保証します。

営業しなければ仕入で資金を使わなくても済むし光熱費もかかりません。

給与が保証されれば従業員が生活に困ることもないし、家賃が補填され、借入金の返済が猶予されればキャッシュフローが詰まることもありません。

店を中途半端に開いてしまうと無駄なお金がかかってしまうだけでなく、コロナ対策としての効果も期待できなくなります。

極論のようですが、自分はこれがベストな対策ではないかと思います。

2020年度の国の税収は過去最高の60.8兆円です。
このくらいのことができないはずがありません。

収支分岐点売上は全ての会社の必達目標です!!

会社の経営にとって『収支分岐点』は極めて重要です。
何故なら決算書がいくら黒字でもキャッシュフローが赤字だったら会社は倒産するからです。
『収支分岐点』を計算するうえで欠かすことのできない要素が2つあります。
それは借入金の返済額(元金)と減価償却費です。
借入金の返済額(元金)は損益計算書には計上されないけれど会社からキャッシュが減少するほぼ唯一の項目です。(例外はあります)
一方減価償却費はその逆で損益計算書には計上されているのにキャッシュは減少しない唯一の項目です。従って減価償却費の分だけは会社にお金が残ることになります。
つまり(借入金の返済額ー減価償却費=必要なキャッシュ(必達目標利益))という事になるわけです。
『収支分岐点売上』は(必達目標利益)から逆算して求めますので、(必達目標利益+固定費=限界利益)(限界利益÷限界利益率=収支分岐点売上)となります。
会社は『収支分岐点売上』を絶対にクリアしないと資金繰りがどんどん苦しくなり倒産してしまうという事です。
昨年からのコロナ禍で緊急融資を受けた企業も多いかと思いますが、1年間の返済猶予が終わりいよいよ返済が始まります。
これからは絶対に赤字は許されないという現実を認識して経営していくことが経営者には求められますね。
そして自社の『収支分岐点売上』がいくらなのか経営者は絶対に把握しておく必要がありますので是非計算してみてください。

もっと詳しく収支分岐点と目標予算作成方法のことを知りたい方はこちらをご覧ください。

損益分岐点売上と収支分岐点売上の違い

『損益分岐点売上』という言葉は聞いたことがあっても『収支分岐点売上』という言葉は聞いたことがない人が多いのではないでしょうか。

前回ご説明したように『損益分岐点売上』とは毎月かかる固定費(人件費・家賃等)を売上で得られた粗利で全て賄える時点のことで、損益分岐点を超せば黒字になり、それ以前は赤字という事です。

しかしここで重要なのは、損益分岐点の黒字赤字とは単なる損益計算のことでキャッシュフローのことでは無いという事です。

つまり損益分岐点を超えて黒字になっても、まだキャッシュフローは赤字の可能性が高いと思った方がいいです。

そしてこのキャッシュフローを黒字にする分岐点が『収支分岐点売上』です。

『収支分岐点売上』の算出方法は次回解説します。